2019年3月大学院修士課程修了生の大川加奈さんの「特定妊婦の特徴:夜間産婦人科救急電話相談における432件の分析」研究論文が原著として母性衛生にアクセプトされました。

 大川さんは、前任の佐川 正先生(現 名誉教授)が主任指導教員となり、修士課程を令和元年度に修了しています。

 この研究では,夜間電話相談を利用した特定妊婦について,その要因(カテゴリー)の頻度と各カテゴリー間の共起関係,各カテゴリーにおける特徴語を明らかにすることを目的としています。特定妊婦からよせられた432件を対象として,量的記述研究を用いて,テキストマイニング,カテゴリー間の共起性の検討,特徴語の分析を行ないました。その結果,特定妊婦15カテゴリーのうち,件数の多い3カテゴリーは若年妊娠,精神疾患,未受診でした。そして、105件(24.3%)は複数のカテゴリーに該当していました。なかでも、支援者不足,音信不通,未婚,金銭問題,未受診,未交付の間で強い共起関係がみられました。一方、特徴語の分析により,例えば「未受診」の〈未受診〉〈救急〉〈胎動〉〈破水〉〈最終月経〉〈分娩〉のように,相談者が置かれている状況が明らかになりました。

 電話相談においては,共起関係の強いカテゴリーを認識し,各カテゴリーに特徴的な語に留意することにより,個々の特定妊婦が直面している困難を把握しやすくなる可能性があると結論づけました。(第63巻 第2号に掲載予定)