2年間の流れと日々の生活
1年生前期は講義が中心になります。座学での文献調査や論文精読・ディスカッションを通じて、エビデンスや周産期医学の基本を学びます。並行して、技術演習を行い、実習に備えてファントムを用いて分娩介助技術を身に付けます(頭が真っ白になっても、考えなくても手が動くまで練習します)。臨床現場をイメージできるように、また経産婦さんにありがちな早いお産など思わぬシチュエーションにも対応できるように、時間の許す限りシミュレーションやデブリーフィングを取り入れて技術練習を行っています。
前期の終わりから後期にかけては実習が中心になります。実習施設では現場の助産師さんからの丁寧な指導の下、分娩介助に携わっていきます。また、一部講義時間を用いて保健指導案を作成して、継続事例の対象者に関わる準備を進めます。分娩介助させていただいた事例では妊娠期から退院後の生活、家族形成期の様子、お子さんの成長までの様子を実習を通じてフルにイマジネーションを働かせ、ケーススタディとして一例一例丁寧に振り返り、次の事例への学びにつなげています。自ら学習の課題を見つけ、自ら学びの行動を起こせることを大切にしています。臨地実習では多くの経験豊富な臨床指導者さんや実習指導者さんと密に関わり、助産師さんの助産観や実践のみならず、豊かな人生経験に触れながら日々、助産の意味や学ぶ楽しさを感じている状況です。
2年次にはハイリスク病院として医学部附属病院でのNICU /GCU実習、病棟管理とともにMFICUにおける妊婦さんのケアについて考える実習や助産院での実践や管理についての実習を行います。また、並行しながら研究活動に本腰を入れ、倫理申請・調査・論文執筆に取り組み2年間の学びの総括に入っていきます。在学中の研究の成果は可能な限り論文化する支援・指導をしています。
実習の流れ
北大では、4月入学以降に約2ヶ月でファントムを用いた分娩介助技術の基礎を身につけます。6月末ごろに試験を行い、手技を確認します。試験でできていなかったことや実際に臨床の場に出るまでに知っておいて欲しいアドバンスなこと・細かな注意点を1ヶ月弱で振り返りながらさらに手技を身につけ、7月末から分娩介助実習に入ります。
分娩介助実習の前半では、分娩の見学後、受け持ちOKの方がおられ次第分娩介助に入っていきます。自分で計画立案をし、指導者さんと調整を行って実習を行います。そして1例を介助することができれば、なんども振り返りを行い、自分の次の課題を見つけて次の学習計画につなげていきます。実習の場では自分で課題を見つけてホウレンソウの上、動けることが求められます。コロナ禍のために十分な病棟実習を経験しないまま進学する学生も増えており、なかなか自分から臨床指導者に声をかけるのは難しいかもしれませんが、慣れるまでは実習指導者が丁寧に関わるので安心してください。
分娩介助がない時には、妊娠期や産褥期のケアの見学など、分娩介助以外の業務について積極的に実習展開を行います。実習開始時間まで病棟での様子はわかりませんので、様々な実習を行えるよう、事前に学習をしてどのような病棟の状況でも学びを深められるように自己学習が求められます。
5〜6週間続いた前半が終われば約1ヶ月間の講義期間があります。前半での介助を一旦じっくりと振り返り、課題を抽出します。また、継続事例実習に備えて保健指導案の原案を作成し、コミュニケーションについても理論と手法を深めます。後半には、状況が許す限り妊娠期や産褥期の実践もできるように自分で調整できる力を身につけていきます。また、前半と後半で異なる病院での実習を行い、それぞれの地域や医療機関の特徴を踏まえた周産期医療体制と課題についても考察を深めます。尚、分娩介助実習では夜間および土日の実習は基本的には行っていません。
修士1年の1月〜3月にかけて継続事例を主に行います。継続事例とは、妊娠期〜産褥期にかけて一組の母子を受け持ち、継続してケアを提供します。継続事例では、可能な限りお産の介助も行います。また、産褥入院中は毎日実習を行い、1ヶ月健診まで継続的に関わります。お産は24時間365日いつでも起こりますので、継続事例では夜間呼び出しや曜日に関係のない実習を行う場合があります。北海道の冬は雪も積もり、交通機関によってはダイヤが乱れがちになります。道外から進学される場合には、居住場所についてもあらかじめご相談ください。
2年次の実習は、北大医学部附属病院の産科病棟(MFICUを含む)・NICU/ GCUと助産院で行います。産科病棟と助産院では様々な周産期医療施設での管理体制について管理実習を行います。また、NICU/GCUではMFICU経由で早産で生まれた子や長期入院から退院する子を受け持ち、ケアを必要とする新生児について学び、周産期医療体制への理解を深めます。2年次の実習は合計して4週間程度です。
実習病院:北海道大学医学部附属病院、札幌マタニティ・ウイメンズホスピタル、砂川市立病院、勤医協札幌病院