大学院修士課程 2024年3月修了 金内里美さんの「統合失調症をもつ女性に対する産前・産後の精神科訪問看護~ケア内容の実態と看護職の困難感~」論文が、原著として母性衛生にアクセプトされました。

目的:統合失調症をもつ女性に対する産前・産後の精神科訪問看護で行われているケア内容,ケアにあたる看護職が抱える困難感を明らかにする。

方法:全国の精神科訪問看護ステーションから諸条件により抽出した1,500事業所に勤める看護職(各1名)を対象としてオンライン調査を実施した。

結果:統合失調症をもつ女性に対する産前・産後の精神科訪問看護の経験を有するステーションは,わずか14.8%であった。精神科的なケアでは,睡眠,精神症状,身体症状および副作用,服薬行動に対する援助の実施率が高く,産科的なケアでは育児に関する援助の実施率が高かった。看護職が抱える困難感では,精神科的なケアにおいて,精神症状,家族との関わり,他者との関わりに対する援助が,産科的なケアでは妊娠・出産・育児に関する心理的援助,妊娠・出産・育児に関する保健指導の割合が高かった。

結論:統合失調症をもつ女性に対する産前・産後の精神科訪問看護は十分に普及しているとはいえなかった。精神科的および産科的なケアの両方の機能を精神科訪問看護ステーションが担うのか,地域の保健センター等と協働していくのかなどは今後の課題であろう。

キーワード:困難感,産褥,統合失調症,妊娠,訪問看護