大学院博士後期課程の中村真弥さんの”Systematic Review on the Efficacy of Moisturizing Therapy in Treating Nipple Trauma and Nipple Pain”論文がJournal of Human Lactationにアクセプトされました。

Systematic Review on the Efficacy of Moisturizing Therapy in Treating Nipple Trauma and Nipple Pain

Maya Nakamura; Hokkaido University, Graduate school of Health Sciences
Luo Yunjie; Hokkaido University, Faculty of Health Sciences
Yasuhiko Ebina; Hokkaido University, Faculty of Health Science

Abstract in Japanese

背景: 乳頭損傷や乳頭痛は産褥早期に授乳を断念する要因である。その対処法として、ラノリンやハイドロジェルドレッシングによる保湿療法が提案されている。しかし、乳頭損傷や乳頭痛に対する保湿療法の効果に関する検討は不足している。
目的: 本システマティックレビューは、授乳中の乳頭損傷と乳頭痛の治療における保湿の有効性を検討することを目的とした。
方法: PRISMA-Pガイドラインに基づく系統的レビューを実施した。7つのデータベースを用いて、体系的に検索とスクリーニングを行い、最終的に24件の文献を対象とした。介入方法を保湿レベルに基づいて高保湿、中保湿、低保湿に分類し、サンプル特性や、介入、および結果について検討した。
結果: 高保湿(2種類)、中保湿(12種類)、低保湿(7種類)の合計21種類の介入が特定された。ハイドロジェルドレッシング、ラノリン、母乳の塗布が一般的な介入として使用されていた。介入および効果の測定方法は研究間で異なり、結果の統合は困難であったが、10件(41%)でより高い保湿の介入が効果的であるとされていた。高保湿に分類された3件のうち2件(66%)が低保湿の介入と比較して効果的であるとされたが、2件(66%)はバイアスリスクが高いと判定された文献であり、有害事象の報告もあった。
結論: 保湿療法は乾燥や母乳の塗布と比較して乳頭損傷や乳頭痛の対処法として有望であるが、高保湿の対処法には厳密な無作為化比較試験の不足と有害事象の報告があり、慎重な検討が必要である。堅牢な実験研究の不足と方法論的な課題が、結果の統合とエビデンスの確立の妨げとなっている。
Back translated by Katsumi Mizuno, PhD, MD, IBCLC