大学院修士課程 助産学科目群 2024年3月修了
金内 里美 さん

この度、修了生の声を書く機会をいただき、感謝申し上げます。大学院への進学を考えている方、助産学分野への進学を悩まれている方へ、少しでも参考になればと思い、恐縮ではございますが、私の経験をお伝えいたします。

私は、母子と関わる職業に就きたかったため、助産師を目指し、本学の看護学専攻へ進学しました。しかし、卒業後の進学・就職を考える段階で、「助産は実習が過酷」、「体力が必要」、「実習と研究の両立は大変」といったようなネガティブな情報を得ることが多く、助産師を目指していけるか、とても悩みました。そのような状況で、蝦名教授から「母子の専門家としては、やはり助産師を経験した方がいいのではないか。」というアドバイスをいただき、助産の道へ進むことを決意しました。実習を経た上で就職活動が行えることや、助産師以外の選択肢が広げられること、学部からの研究が続けられることから、2年間かけて学ぶことのできる本学の大学院を志望しました。

大学院では、授業や実習準備で忙しい日々ではありましたが、自分の興味のある分野を集中して学べることに楽しさを感じました。学部とは違い、少人数での講義であるため、先生を交えたディスカッションなどで、専門的な知識をたくさんご教授いただくことができ、とても充実した時間でした。心配していた実習も、体力的には大変さを感じることもありましたが、産婦さんの言葉や笑顔、同期や先生方の存在に支えられ、看護の実習以上にやりがいや自分の成長を感じることができた経験となりました。研究では、「統合失調症をもつ妊産褥婦への訪問看護」をテーマに行いました。私たちの代は1学年上の先輩がいなかったため、研究の進め方も手探り状態でしたが、蝦名教授をはじめ、研究室のメンバーからたくさんのアドバイスをいただき、なんとかかたちにすることができました。入学前は、研究と実習の両立が大変なのではないかと心配していたものの、それぞれの忙しい時期が被らないようにカリキュラムを設定してくださっているため、問題なく乗り越えることができました。

本学の大学院は、少人数ならではのアットホームさが魅力だと思います。親身になって相談にのってくれる先生方や、励まし合える同期がいたからこそ、楽しく充実した大学院生活を送ることができたと感じています。助産師として働く現在、母子に寄り添う存在としての実践を学ぶことができ、助産の道を選んでよかったなと日々思っています。助産学科目群への進学を考えている方、迷われている方はぜひ一度、蝦名研究室を見学されると良いかと思います!(2024年5月記)

看護研究 2023年ゼミ生
原山 桃佳さん

北海道大学医学部保健学科卒業研究優秀賞を受賞して

このたび、北海道大学医学部保健学科卒業研究優秀賞を受賞することができ、たいへん栄誉なことであると感じています。ここで感謝の気持ちとともに蝦名ゼミでの1年間を振り返りたいと思います。

わたくしは「高等学校における月経随伴症状とその対処法に関する教育の実態」というテーマで看護研究に取り組んできました。研究したいと考えたテーマが偶然にも大学院生の和高一希さんの研究テーマと類似しており、蝦名先生の薦めで和高さんの研究協力者になることとなりました。共同研究に快く応じて下さり、研究の計画の段階から一緒に取り組んで下さった和高さんには、本当に感謝しています。調査対象高校のピックアップやアンケート項目のすり合わせなど、大変な作業もありましたが、全国規模の調査研究を経験できたことは、私にとって大きな糧になったと感じています。

振り返ると蝦名ゼミは、自分のペースで研究を進められるところが大きな魅力であると感じています。そして蝦名先生はどんなに忙しいときでも、すぐに時間をとって丁寧に指導して下さいました。またTAの稲澤さんと菊池さんからは、ミーティングのたびに的確なコメントをいただきました。さらに、メンバーの家納さん、田森さん、平田さん、そして高橋さんにも支えられ、励まされました。このように蝦名先生とTAのおふたりのサポート、メンバーの支えがあったからこそ、今回の研究を良い形で締めくくることができ、このような賞をいただくことができたと思います。皆様、本当にありがとうございました。(2023年12月 記)

2024年3月25日 表彰式にて

科目履修生 ウィメンズヘルス特論 2023年履修
はだ産婦人科クリニック助産師 寺林 加菜子さん

科目履修生としてウィメンズヘルス特論を受講して

今回、私がどうしてもウィメンズヘルス特論を受講したかったのは、私自身がウィメンズヘルス能力に自信がなかったからです。私は助産師として現場で働く一方で、助産学生や看護学生の教育のお手伝いもしています。助産師のコンピテンシーでは、マタニティケア能力と同時にウィメンズヘルスケア能力も中核を担うのですが、私だけではなく現場の助産師も、教育に携わる助産師も、このウィメンズヘルスケア能力は弱いのではないかと思っています。実際、臨床現場でウィメンズヘルスケア能力は非常に重要で、特に外来や産後ケアの保健相談の場面で必要になります。私は、思春期から中高年女性まで、長期的に、女性の健康を支援できる助産師になりたいし、そして後輩たちにもウィメンズヘルス能力を育む教育をしていきたいと思いました。

毎回の授業は、不妊症、不育症、骨盤臓器脱、子宮頸がん、子宮体がん、更年期治療、ピル、子宮頸がんワクチンのことなどの内容で、講義を受けるたびにたくさんの学び直しや、得た知識と臨床で出会う症例とをすり合わせをする体験を何度も経験しました。私は医師ではないので、診断や治療を考え、決めるということはしないのですが、どのような系統で診断され治療が行われているのかを理解すること、患者さんの症状や生活での苦痛を理解・共感し助産師として支援を考える必要性を改めて思いました。そして、理学療法学科の学生さんと一緒に受講していたので、それぞれの職種の立場や価値観でディスカッションをし、自分が気が付かなかった視点や問題点にハッとさせられました。医師と看護師・助産師、理学療法士などは同じ医療現場にいるけれど、専門性が違うことを改めて実感しました。医学は診断や治療に関する学問だと思いますが、私が専門としている看護学は患者やその家族の生活に焦点をあてていること、特に助産学は女性の健康や、女性の妊娠、出産、育児の支援を考える学問であると再認識しました。社会情勢の変化、医学や技術の進歩も著しい中、専門職もアップデートしていかなくてはならないと思うのですが、日々の仕事や家庭での役割が忙しかったり、なかなか学習の機会がないような気がします。しかし、今回の私のように科目履修生というかたちで受講し、自分の考えや価値観と向き合う時間はとても有意義であり、もっと社会人が利用するとよいと思いました。

短い期間でしたが、非常に有意義な講義を受けることができました。蝦名先生には心から感謝いたします。(2023年9月 記)

大学院修士課程 助産学科目群 2022年3月修了
竹内 瑞季 さん

この度、修了生の声を書かせていただき、まことに光栄に思います。

私はもともと助産師になるつもりはなかったのですが、母性看護学の講義や実習で命の誕生に触れていくうちに、助産の世界に感動し、助産師になりたいと決心しました。また、もともとやりたかった研究を大学院でやりたいと思い、本学の大学院に進学しました。

大学院入学当初は、助産という厳しい環境で、そのうえ同期がいないという状況の中で2年もやっていけるかどうかとても不安でした。しかし、教員の方やお世話になった講師の方、実習先の助産師の方がとても丁寧にご指導くださり、一人でも乗り越えることができましたし、心身ともに大きく成長することができました。また、大学院に進んでより専門的な分野を学習していくにあたり、講義や実習がとても刺激的で、たくさんのことを学べることができました。そして、実際に就職して、大学院で学んだことがとても生かされていると常々感じています。

研究では、私は産後うつ病に関して、全国調査を行いました。最初は研究をどう進めたらいいか分からなかったですが、毎週のミーティングで先輩の話を聞いたり、他の科目群の同期の話を聞いたりして、どういう風に進めたらよいか、どういう内容にしたらよいかが徐々に見えてくるようになりました。また、ミーティングでは、先輩や教授が具体的かつ丁寧にご助言してくださるので、もちろん自分で考えることもたくさんありましたが、研究の方向性が次第に見えてきます。

大学院は自分自身を大きく成長させ、研究者としても多くの経験ができる場所だと思っています。素敵な出会いもたくさんありますし、楽しいこともたくさんあります。また、助産はとても奥深く、魅力的な世界だと思います。実習と実際に働いてみてとは違いますが、命の誕生に巡り会えるのは助産にしかない魅力だと思っていまし、何度立ち会っても感動します。助産学科目群に少しでも興味がある方は、ぜひ一度、研究室の方を見学したり話を聞いたりしてみるといいと思います。(2023年 3月 記)

大学院修士課程 助産学科目群 2021年3月修了
吉田 ひかる さん

この度、蝦名教授より「修了生の声」掲載の機会をいただき、久しぶりに大学院時代のパソコンを立ち上げています。

助産学分野での大学院進学を目指す皆様に、恐縮ではありますがわたしの大学院での学びや実際の臨床現場で感じることについてお伝えできればと思います。

大学院進学を決めたきっかけは、姉の妊娠・出産を身近に体験したことです。妊娠期の女性の困難や親役割の獲得過程、産後の心身変化や子育ての大変さを自分事として感じることができ、そのような女性と家族を近いところで支える助産師という職業に大変な魅力を感じました。このことが助産課程への進学を決めた理由でありますが、なぜ北海道大学での進学を目指したのか、それは修士号の取得という大きな利点があったためです。先の人生を考えると、修士課程を卒業し、研究についての知識があること、英語論文を読むことができることは自分自身の人生の選択肢を大きく広げてくれることであると思いました。臨床で働くことも、教育者としての立場を選択すること、研究者という立場を選択すること、海外での活躍やさらなる進学を目指すこともできるということです。もちろん大学院を卒業しなくても、自分の頑張り次第でどんなこともできると思いますが、進学をすることでその夢をもっと近くに感じることができると思い、北大での進学を決めました。

実際の大学院での生活は、助産実習を行いながら研究を進めなければならないという環境で、自分が思い描いていたよりも壁が多く、挫折と妥協に悩む日々も多かったのが本音ではあります。しかし、先輩、後輩、他領域の方々との関りや、蝦名教授からのご指導により、自分の探求心の向く「ハイリスク妊婦」をテーマに研究を行うことができ、人生において本当に貴重な時間を過ごすことができたと思います。何よりも、同じ環境で学ぶ大切な同期がいたことが、今でも心の財産になっています。

大学院を卒業してからは、NICU/GCUでの経験を経て、現在産科/MFICUで働いています。重症児やハイリスク妊産褥婦へのケアを行う機会が多く、大学院での学びが日々活かされていると感じています。受け入れがたい事例や、自分自身の力不足を感じることも多いですが、それでも自分なりの課題や信念をもって助産師という職業に向き合えていることは、紛れもなく大学院での蝦名教授をはじめとした多方面からのご指導のおかげであると感じています。

長々と自分語りをしてしまいましたが、助産領域での大学院進学を目指す人や、迷っている人にとって、何か少しでも参考になればうれしいです。

今回は、このような機会をいただきありがとうございました。皆様ぜひ蝦名研究室へ!(2023年 4月 記)