私が専門とする産科婦人科学は、女性の生涯にわたる健やかさを守るとともに、生命の誕生に関わる医学分野です。そして、最近の医学や医療の高度化や複雑化、そして少子化や高齢化といった社会構造の変化にも密接に絡んでおり、新たな問題が次々と発生しています。たとえば生殖医療や出生前診断に際しては、倫理的観点からクライアントと児の福祉や権利に配慮することが求められています。また、婦人科腫瘍の治療においても、ゲノム情報に基づく個別化医療が現実化し、遺伝性腫瘍の予防・治療が行われています。このような遺伝診療においては、複雑で難解な病態の理解を助けて、適切な自己決定ができるような現場のサポートが必要であり、その後のフォローアップも不可欠です。しかし、必要な体制は確立されていません。本学における教育では高度な専門知識を身につけることも目標ですが、さらに社会にニーズに応えるために新たなエビデンスを構築することが求められていると考えます。