5 婦人科学:卵巣がんと血栓塞栓症
悪性腫瘍患者では、血栓症発生リスクが高いことが知られています。なかでも卵巣がん患者では肺血栓塞栓症が初発症状になることが珍しくないくらいその頻度が高いです。われわれは、卵巣がんを疑う治療前患者全員に、D-dimer測定と下肢エコーを行いました。その結果、22.7%(25/110人)に下肢静脈血栓症(2人は肺血栓塞栓症を合併)を認めました。うち21人は、血栓症に関する症状はありませんでした。そして、このD-dimer高値と明細胞癌であることが血栓塞栓症と深い関連があることを明らかにしました(Ebina Y. et al. Medicine 97, e11009, 2018)